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Author:yasukomi
埼玉県狭山市にあるいのちの樹教会の牧師です。
このブログは毎週の礼拝と祈祷会のメッセージを要約したものです。

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201108 ルカ5:12-16 「手を伸ばして彼にさわり」

ルカ5:12-16 「手を伸ばして彼にさわり」

 今日の箇所の冒頭「イエスがある町におられたとき、見よ、全身ツァラアトに冒された人がいた。」とあります。つまり、このツァラアトの人が町の中にいたと言うことです。この何気ない出来事が、当時どれほどの大事件だったことでしょう。彼はこの病に冒されたという理由により、仕事も家族も友人も失い、人々から忌み嫌われ、町外れの洞窟に身を寄せて、心ある人の施しによって辛うじて生きるしかない、そのような境遇へと追いやられました。レビ記13:45-46にはツァラアトの人々は、宿営の外に離れて住み、「自分の衣服を引き裂き、髪の毛を乱し、口ひげをおおって、『汚れている、汚れている』と叫ぶ。」とあります。つまり彼は、見るからにわかるボロボロの衣服で、口ひげや髪の毛を伸ばして顔を隠し「わたしは汚れています」と周囲に注意を呼びかけながら、恐る恐る町中に入って来たのです。それは、人々から何をされるかわからない。水をかけられるか、石を投げられてもおかしくない。心無い誹謗中傷と差別の中に身を投じるということでもありました。それでも彼はイエス様に会いたい一心で町の中に足を踏み入れたのでした。
 もしこれでイエス様に会えなかったら、イエス様が噂どおりの人で無かったら、癒されることがなかったら、いったいどうでしょう。町の中に入るという決断は、彼にとって大きな賭けです。しかしそれ以上にこれは信頼です。イエス様に会いさえすれば、必ずこの身は癒される。そう信じて、彼は今イエス様のところへとやって来たのです。
 イエス様は全能なる神のひとり子です。イエス様はお言葉一つで、悪霊を追い出し、病を治すお方です。しかし、イエス様はここで彼にさわって言われました。「わたしの心だ。きよくなれ。」イエス様は、敢えてさわられたのです。リスクを負われたのです。ツァラアトの彼に必要なのは、病の癒やしと共に心の癒やしだからです。彼の傷ついた心には人の手の温もりが必要だったのです。ツァラアトは伝染病でした。そして汚れそのものでした。これに触れることは律法で固く禁じられておりました。ツァラアトに冒された人に触れれば、その者も汚れることを意味していました。それだけに、この病人は発病以来、決して人に触れられることなく生きてきたのです。それは仕方のないことでした。けれどイエス様はこの病人に触れられたのです。
 イエス様は手を伸ばして彼にさわられるとき「わたしの心だ」と言われました。イエス様は心からこの人を憐れまれたのです。彼のこれまでの深い絶望に心痛め、心から嘆かれたのです。これこそイエス様の心です。なぜならイエス様自身が十字架の使命を負っていたからです。人々に蔑まれ、唾を吐かれ、嘲笑の的にされる、そのお方だからです。だからこそイエス様は彼の孤独を捨て置くことができなかった。彼の身に触れずにはいられなかった。彼の痛み悲しみが誰よりもわかるイエス様だからです。
 この人をイエス様はきびしく戒めて立ち去らせました。「だれにも話してはいけない。ただ行って、自分を祭司に見せなさい。」なぜ話してはいけないのでしょうか。それは体の癒しだけでは彼は救われないからです。ツァラアトは病が癒されても、それで済む病気ではありません。ツァラアトによって汚れた者は、町の中に住むことができません。祭司によって「きよい」と宣言されて初めて、社会生活に復帰をすることができるのです。祭司に見せる前に、誰彼となく話せば、決まりを破ったその人は祭司の反感を買います。そうなれば、彼はたとえツァラアトが治ろうと、孤独と偏見の毎日からは抜け出すことができません。ずっと神殿から追い出されたままです。ですからイエス様は、だれにも話さず、祭司に見せなさいと命じられたのです。
 ルカ4:40に「イエスは一人ひとりに手を置いて癒やされた。」とありました。この一人ひとりにというのは、このツァラアトに冒された人に向き合われたように丁寧に向き合い、その人にとっての最善を施されるということです。そして、イエス様はそのように私たちにも向き合われると言うのです。私たちの置かれた状況に寄り添い、必要な御言葉を語られ、行くべき道を備えてくださる。私たちを見ていてくださる方なのです。ですから私たちは隣の兄弟姉妹を見て、主の取り扱いを比べる必要はありません。主はみんな同じには扱いません。それはある意味平等とは言えないかもしれません。けれど、主と私の関係の中でイエス様は私にとっての最善を用意してくださるのです。

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